shortcoco夏号「Baby雑貨特集号」web編集後記
前号から4ヶ月のインターバルで発売されたshortcoco夏号、今回はいわゆるキッズファッション誌の中でもひとつもふたつも“抜けた”出来になったのでは、と自負しています。というのも、この号はビジュアルがきれいでかわいいだけでなく、今の時代を生きるママの意識と無意識を初めてちゃんと言葉として定着出来たからです!
ぜひ読んでいただきたいのは、マクラーレン特集の最後のマクラーレンプレスの道間恵美さんとこどもビームス・プレスの峯野孝恵さんとの対談。
ここでは、ファミリーカーを夫婦一緒に選ぶのと同じようにマクラーレンの車種を選び、街に子どもと一緒に出る際はマクラーレンを軸に洋服をコーディネートし、やがて子どもがベビーカーの年代を卒業しても、マクラーレンのストローラーはメモリーが詰まった携帯のように捨てられない、今のママの微細な心の流れが全部活字に出来ました。それは、子どもが出来たら自分は「上がり」ではなく、子どもが出来たからこそずっとセンスを軸にして生きる、たとえそれが大変でも、そう決めた!というワーキングマザーの矜持のようで、ぼくはここにいわゆるキッズファッションや今回の号で特集したBABY雑貨の流行の源流を見た気がしたのです。
まだ吉野家の牛丼が一杯280円の頃、「牛丼280円、男の昼飯そんなに安くていいの?」という問題提起的なビジュアルを制作している方のお話を聞く機会があったのですが、これ本当に核心を突いたコピーだと思うんですよね。もちろんモノは安いに越したことはないんですが、誰も自分の人生は安っぽいものにしたくないんですよ、実は。毎日は楽じゃないけど、その負荷に負けないようにセンスよく生きたい。 育児というもっともベタでおしゃれにするのは無理、と思われていたジャンルを洗練したマクラーレンは、上記のような負けず嫌いなワーキングマザーのためにある、正しい「ブランド」だと思いました。
そして、そんなマクラーレンにひっぱられる形で増えているベビーカーのアクセを始めとする各種のBABY雑貨。
これも育児用品ではなくBABY雑貨と言葉が先に進んでいる感じが大切だと思うんですよね。
マクラーレンがベビーカーではなく自社の製品をストローラーと言っているように、これからのshortcocoもキッズまわりの新しい言葉をどんどん探し、それが最初に載っている媒体にしたいと考えています。
休刊が相次ぎ、なんだか二、三年前のプチバブル期が見る影もないキッズファッション誌業界ですが、それは結局、今この時代に育児をしている人のメンタリティーをちゃんと翻訳する言葉をもってなかったからだと思うんですよね。それはまあ、この業界に関わって雑誌をやってる者の怠慢だろう、と。
じつはもう既に次号の制作に入っているshortcoco、写真に魅了され、テキストに納得! という二枚腰で刊行ペースを早めて発刊したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
shortcoco編集長 斉藤まこと